必ず知っておこう!モデルリリースとは。

モデルリリース

モデルリリースとは、カメラマンが人物の撮影を行う際に、モデルとカメラマンとの間で交わす肖像権利用の承諾書のことです。

あまり聞きなれない言葉ですが、撮影に関わる人は必ず知っておく必要のある重要なことです。

モデルリリースの取り交わし方など、この記事で細かくチェックしていきましょう。

モデルリリースとは?

契約

写真や動画には、個人が特定できる人物が含まれる場合、必ず 肖像権 が発生します。肖像権とは、個人が特定できる写真を勝手に撮影されたり、その写真を 無断で使用されたりしないようにするための、保護を受けることのできる権利 のことです。

モデルリリースとは、肖像権を持つ被写体に対し、写真の使用をしてもいいか?という同意をしてもらうための、 肖像権使用承諾書 のことです。

どんな作品でも、作品中に人物が映り込んでいる場合には、その人への許可取りが必要となります。許可なく勝手に掲載、販売した場合には、肖像権の侵害となり罰せられる可能性があります。

👆POINT
写真を撮影する側には【著作権】、撮られたモデル側には【肖像権】が発生します。

モデルリリースを交わすことで、カメラマン側はある作品に使う予定で撮影した作品だったのに、モデルの都合でその写真が使用できなくなるというトラブルを防ぐことが出来ます、

逆にモデル側は、自分の知らないところで無断で写真を使われてしまうといったようなトラブルを防ぐことが出来ます。

このようにモデルリリースは、 撮る側にも撮られる側にもとても重要 なことなのです。

モデルリリースの取り交わし方

では、モデルリリースはどの様に交わせばいいのでしょうか。

ネット上でフリー素材などを販売しているサイトは、事前にモデルとの間で書面でモデルリリースを交わしていることがほとんどです。もちろん、書面で承諾を得ることが1番安心な方法と言えます。しかし、フリーモデルとフリーカメラマンが個人的に撮影を行う場合や、親しい間柄での撮影はどうでしょう。わざわざ承諾書を作成して行って、モデルにサインをしてもらって…なんて面倒だな、と思う方も多いと思います。では、メール上でのやりとりや、口約束でも契約は成立するのでしょうか。トラブルを防ぐためにも、詳しく見ていきましょう。

メールや口約束でもOK?

メールでの約束

結論から言うと、メールや口約束でも契約は成り立ちます。

法律上以下のように示されています。

契約の成立と方式) 第522条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。 2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

民法上では、メールや口約束のみでも契約は成り立つという事です。しかしメールや口約束には注意点があります。

どんな契約の交わし方であっても、 証拠が残らなければ意味がない という事です。

メールでのやり取りでは文面での証拠が残りますが、「明日の写真使っても良いですか?」「いいですよ」程度のやり取りでは、なんの証明にもなりません。

カメラマン自身はモデルに許可を撮ったつもりであっても、後日モデルから、「あの写真の掲載許可は出していない」と言われてしまってトラブルになったという例もあります。

 使うのがどの写真なのか、その写真は一体どのような目的でどこに使うのか、詳細な内容が記載 されていない場合には無効となります。

口約束の場合はもっと注意が必要です。やり取りの音声録音でもしない限り、なんの証明にもなりません。撮影を依頼するたびに音声録音…なんて現実的ではないので、書面でのやりとりか、メールやLINEでのやりとりが良いでしょう。

契約内容に記載すべき事項

一番トラブルになりやすいのは、撮影の許可は出したが、他に利用するということまでは承諾していないということで、モデルとの間でトラブルになることです。

そのようなトラブルを未然に防ぐために、以下に記載例を載せておくので参考にしましょう。

掲載するべき事項

・公開の可、不可

・公開メディアや場所₍どのような場所でその写真を使うのか」

・公開期限₍期限なく使ってもいいのか、期限を設けるならいつからいつなのか)

・二次利用

・親権者の同意₍未成年者のみ)

・撮影料金

モデル側に安心してもらうためにも、以上の項目は必ず同意を得たほうが良いでしょう。最近ではTwitterやInstagramなどSNSでの無断掲載なども問題になっている為、 SNSへの掲載許可も含めた、メディア掲載の許可取りが必要 となります。

もしもモデルリリースを交わさずトラブルになった場合

掲載NG

もしも被写体の許可を得ずに無断に写真を使用し、トラブルになった場合にはどのような法的処置が考えられるのでしょうか。

許可を得ずに使用し、モデルから掲載の中止を求められた場合、 掲載した写真はメディアに関わらず全て削除 しなければなりません。

Webのみの掲載ならすぐに削除することができますが、もしも雑誌に掲載していた場合には雑誌の回収、写真展などに無断使用していた場合には、写真展の中止をしなければなりません。

その写真の無断掲載により、精神的な苦痛を負ったなどモデル側から訴えがあった場合には、損害賠償などを求められる可能性もあります。

親しい間柄であったとしても、時間の経過ともに双方の考え方が変わるなどの問題も出てくるので、モデルリリースは必ず交わしましょう。

モデル側は、撮影してもらった写真を使用できるのか?

最初にも記載しましたが、 モデルには【肖像権】がありますが、カメラマンには【著作権】 があります。そのため、カメラマンが撮影した写真には、カメラマン側の著作権があります。

そのため、 撮影してもらった写真を、モデル側がカメラマンの許可なく使用することはできません。 著作権の侵害として訴えられる場合があります。

撮影してもらった写真を宣材写真として使用したい、SNSに載せたい等の場合は、必ずカメラマンに許可を取るようにしましょう。